1995年 4月2日 KKシステム 征士賞
つやつやブロンドなびかせて、ステップふみふみやってきた。
こいつの名前は伊達征士。
「ダーリンっv」
「うわ!いきなり開けるな!」
抗議の言葉もなんのその。扉を開けてダイビング。目指すは愛しい当麻のハート。
「抱きつくなっ、こら腕を放せ!迫るなって言ってるのにっ」
「んちゅv」
「むーっ」
征士は大好きな当麻の細身をガッチリと抱え込み、ガッチリと抱え込み、ガッチリと抱え込んだまま、唇を奪いまくったのだった……。
「でっ!?」
声に怒りを滲ませて、名探偵羽柴当麻は自称怪盗伊達征士を睨みつけた。
その悪い目つきも素敵、と征士はもう一度抱き締めようと腕を伸ばした。
逃げられた。
必死の躱しが可愛らしくて笑った。
「笑うな!さっさと用件を言って消えてしまえ」
唇を拭って当麻が威嚇した。
ここは羽柴探偵事務所の中だ。ノックもなしに飛び込んででくる部外者に主導権は渡せない。
ただでさえこの男には一杯くわされてばかりなのだ。
出会ったときからむかむかブルブル拳が震える。額に青筋たてるほど、怒る相手はいつもこいつだ。
ちょっと他にいないようなハンサムだ。
服装のセンスと言動はイカれているが、顔と体は同性である当麻から見てもうっとりするほどずば抜けて良い。
しかも当麻に惚れてるなんて堂々と言う。行動もする。そりゃあもう恥ずかしげもなく。
「そんなに見つめるな当麻。嬉しいではないかv」
誰も見つめてない!と当麻は叫びたかったが言葉より先に手が出た。
「殴ることはないではないかっ」
頬を庇いながら、つい手が出た当麻すら、可愛いと思えてしまえるのが征士だ。
本当に可愛い。いつまでたっても照れが消えない。
初々しいまま突っ撥ねる。けれど実は相思相愛。
当麻が赤くなっているのは怒鳴っているからではない。そのくらい、ちゃんとわかっているのだ。
「愛しているぞ」
また殴られた。
END