永遠が砕けても


碧爽 深



 共にいたいと望まない者があろうか、愛し子と。
 毛利、貴様にはわかるか?
 命を拾い、糧を授け、十字架で縛る貴様に。
 与えることで充足をえる貴様に。
 神が、こころを満たしている貴様に。
 欲しかったものを口に出せない可愛そうな子供が、自ら不幸になって行く様を、貴様は何故見抜けないのか。
 相反するものを引き裂くことしか出来ぬ貴様に、当麻が望むものを与えてやれぬ貴様に。
 私の魔性ゆえの邪気が当麻を苦しめるというのなら、私はいくらでも当麻から遠ざかろう。
 一日一瞬でいい。そのわずかな時間で、私は耐えられる。
 貴様は、それさえ砕こうというのか。
 当麻はもう貴様のもとでは暮らせない。それが私にはわかる。非道と言わば言え。もとより人間に好かれたためしなどない。人と魔の間に産まれし異端の子セイジが、流浪の民が捨てし青い目異端の子に魅かれて何の不思議があろう。
 私と共に生きると言った。わずかな人としての生を、私とともにあると言った。だから私は当麻の望むように、ずっと、そばに。

「貴様の側にいれば当麻はその体を邪気に侵される!みすみす当麻を死なせる気か!」
 何故人間なのだ!何故当麻は人なのだ!私の体にも半分は人の血が流れているというのに、何故当麻と私はこんなにも違う…!
 しかし毛利、貴様は同じ人間だというだけで私から当麻を奪おうというのか。
 ただ、それだけなのに…!
「セイジ !! 」

「どうしたんだよ。セイジがうなされるなんて。夢でも見たのか?魔物も夢なんてみるのか?新発見だなあ。どうした?本当に顔色が悪いぞ?セイジ?」

 何故当麻は人間なのだろう!大神よ!これが私への罰か !? 殺めた命の数だけあがなうための…!?

 私は、どうすればいい…。当麻と、永遠に共にありたい。当麻の命つきるとも…。



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